秋といえば “柿”・・・
とにかく季節らしいものが大好きな私ですが、秋になると〝柿〟が超~楽しみです。
柿がどれだけ好きかというと、食べ物の好きさとしては たぶん普通(果物ではどちらかといえば梨が好き)なんだと思いますが、「この1年も秋に柿を食べたぞ~」という季節感を感じるのが好きなんです。
論理的に言えば、何の意味もない、ちっぽけな一人の初老の大人が小さい季節感を味わうだけの話ですが、それでも それで1年小さな幸せが感じられ続けるんなら良いじゃないですか・・・という感じです。
ところで、柿の話。そんな私なので季節の風物詩というのが大好きで、晩秋に干し柿を縁側に干すなんていうのは小さい頃から〝大きな夢〟
今回ご縁をいただいた「阿波ノ北方農園」さんでは、毎秋干し柿約1万個を手作業で作っているとお聞きし、私の小さい頃からの“大きな夢”が目の前にぶら下がったのです。

実は地元では有名な干し柿・・・
嫁さんのお供で、徳島県の農業を営んだりしている方々のところにお伺いした今年の秋、阿波ノ北方農園 三木さんのところにもお伺いしました。
ここの干し柿は地元でも、「ここっ」という処で販売していて、実は数年前に嫁さんが知り合いから「あそこの干し柿はとっても美味しいのよ、〇〇で売ってるよ」と囁かれ、実際に2人で買いに行って食べて その美味しさに“感動”したのです。
かれこれ3年間?ようやく製造元の阿波ノ北方農園 三木さんのところに辿り着くことができました。

干し柿ができるまで・・・
あいにく、柿の収穫そのものが始まる前で“干し柿”を作っている現場を見ることはできなかったのですが、三木社長に干し柿作りを色々と教えていただきました。
まず、驚きなのが、今どき全て手作業なんだそうです。珍しいですね、〝手作業〟という言葉にすぐ反応する私。三木さんのところではピーラーで1個ずつ丁寧に「縦に」剥くそうです。この「縦」に剥くのが表面にムラを作らず美味しい干し柿にするポイント①だそうです。

そして、かなり濃い塩水(海水くらい)でさっと湯通し、殺菌し、冬場干し柿仕様にしてある風のよく通るビニールハウス内で干します。
この地域は社長曰く
冬になると昔から、〝池田白地の風が吹く〟といって池田の山から吉野川沿いに冬の乾いた風が吹き下ろしてくるんです
と。この乾いた木枯らしが、きっと干し柿を美味しく乾燥させてくれるに違いない。

なぜ〝幻の柿〟なのか・・・?
ちなみにここの干し柿は、〝幻の柿〟大和柿を使っています。大和柿は古代から阿波地方や四国にある日本古来種の渋柿で、収穫時期が短く、また風が吹いて葉が身に触れただけで傷が着くと言われるくらい繊細な品種なので、生産地周辺でしか消費されない傾向があることから〝幻の柿〟と称されるようです。
江戸時代は歌舞伎役者の三代目坂東三津五郎が大和柿の色を好んだとして一世を風靡したそうで、実は大昔から形も色も味も日本を代表する「柿らしい柿」だと私は思っています。
一般の柿が糖度14〜16度くらいだそうですが、大和柿は何と25度!それが、干し柿になるとさらに甘くなり70度を超える!という元々が“あま〜い”柿なのです。だから干し柿が美味しいのかあと納得。
丁寧に丁寧に一つずつ・・・”揉んで” ”干して”・・・
三木さんのところでは、干して10日ほどしたら柿を“揉む”んですって!?この“揉む”という工程は干し柿作りでは一般的なんだそうです。知りませんでした。揉むと味が均一になったり、外はしっかり中はふっくら食感になるといった効果があるそうです。でも三木さんは「柿もみ機」とかで揉みません。全て手で揉みます。膨大な量の柿を一つ一つ。丁寧に。腱鞘炎になりそうになりながらひたすら“揉みます”

そしてまた10〜20日ほど干したら完成です。ただ干すだけではありませんが。向きを整えたり、風をより良く通す調整したり、防鳥ネット貼ったりと干すのも大変です。通常の干し柿作りでは、ここで燻蒸という工程がはいるそうですが、三木さんのところでは燻蒸をしません。
燻蒸というのは、硫黄等を燃やして亜硫酸ガスなどを発生させ柿を燻す作業で、酸化防止や、色出し、殺菌、乾燥促進など色んな効果があり干し柿作りでは大事な工程です。その工程を加えた干し柿は「酸化防止剤使用」の表記が義務付けられています。三木さんのところでは燻蒸しませんので、「酸化防止剤不使用」です。よく全国の他の干し柿業者さんに会った時に〝燻蒸していない〟と言うとびっくりされるそうです。
昔から大切に育てられてきた「大和柿」の元来持つ色や味、「池田白地の風」という木枯らしというこの地域独特の自然、工場とかではなく1つ1つ丁寧に時間を掛けて毎日干し具合や向きなどをチェック、そんなとっても手間のかかる工程を惜しまない、そんなご苦労の積み重ねが機械や燻蒸することなく美味しくて美しい干し柿を作り上げています!(続く)
